葬儀の仕事とは、人生の最期という貴重な瞬間に携わり、
故人の尊厳を大切にお守りするものです。
また、ご遺族の気持ちを少しでも前に向けられるように、お一人おひとりの想いを読み取り、
自らご提案する必要があることから、「究極の接客業」といわれています。
当サイト「オモイノシゴト」では、新卒として葬儀業界で働く方の声から、
その仕事内容ややりがい、成長や将来像などをお伝えしています。
みなさんは葬儀の仕事と聞いて、その業務内容を具体的にイメージできるでしょうか?
その業務内容は葬儀の相談や司会進行だけではなく、多岐に渡っています。
以下は一般的な葬儀の流れです。これらすべてをトータルで担当できるようになってこそ、「葬儀の仕事のプロ」だと言えるようになるのです。
ですが、新卒入社時は誰しも葬儀の知識を持っているわけではありません。
葬儀の一つひとつを、仕事をしながら覚えていくのが通常です。
ここでは新卒として葬儀社に入社した3名の葬儀スタッフの1日の業務を追いながら、
葬儀の仕事のリアルな内容や、学ぶべきこと、取り組みなどをお伝えいたします。
スポーツ全般(特にサッカー)
大学生の頃に飲食業でアルバイトをしており、お客様とコミュニケーションを取るのが好きだった杉沢さん。それを機に、「もっとお客さんと親密にかかわる仕事がしたい」と思い、その究極のサービス業として候補に挙がったのが冠婚葬祭業でした。情報を集める中で現在勤める葬儀社の説明会に参加し、その仕事内容に感銘を受け、入社に至ったとのことです。
葬儀があるときは出社後に、発注などが正常にできているかについて書類などで確認します。お寺様をちゃんと配備できているか、火葬場までのマイクロバスが手配されているか、などですね。この作業にだいたい15分くらいかかります。
朝礼では、全体に共有することを各メンバーが少しずつ喋っていきます。どの業務をどのメンバーが担当するか、という振り分けについても確認します。
朝礼が終わり、発注の確認を終わらせたあとは、実際に葬儀が行われる式場の最終確認を行います。
葬儀の開始時間はまちまちですが、このぐらいの時間から参列者様がお見えになるため、案内を行います。また、喪主様がお寺様に挨拶する案内、我々がお寺様と葬儀に関する打ち合わせなどの業務を進めていきます。
葬儀が始まる前に、葬儀に参加される方全員に向けて、前説というものを行います。葬儀の流れについて5分ほどですかね、説明を行います。
葬儀が始まりましたらお寺様が入場して、我々が式の進行をしていきます。いわゆる司会業という形です。葬儀自体はだいたい1時間続きますので、12時くらいまで進行役を担います。
葬儀が終わりましたら、お花の祭壇の場合はお花でのお別れを行います。その後はご出棺という形で、喪主様と参列者の方々を火葬場まで送り出します。
手が空いたスタッフから順番に休憩を取ります。時間はその都度まちまちです。
休憩後は、先ほどまで行っていた葬儀の書類整理を行います。葬儀の依頼が入りましたら、ご遺体の搬送にも向かいます。葬儀をどういった式にするか、という打ち合わせも行います。
定時は17時30分です。お通夜がなかった場合は、定時から18時くらいには退社できます。葬儀の受注があった場合は、マイクロバスやお寺様の手配などをその日のうちに行うため、30分~1時間くらい残業することもあります。
その人にとって、葬儀って1回しかないと思うんです。ですから、やはり悔いのない葬儀にしていただくために、お客様のニーズというものを大切にしています。
そのために一番大事にしているのが、打ち合わせの際にしっかりお話するという点です。新卒で入社してまだ受注も少ししか経験しておらず、これからっていう感じなのですが…。セレモニアでは入社後の研修はもちろん、配属後も先輩のサポートを受けながら葬儀を学べます。今は先輩の打ち合わせに同席し、受注を学んでいるというところです。
その人にとって、葬儀って1回しかないと思うんです。ですから、やはり悔いのない葬儀にしていただくために、お客様のニーズというものを大切にしています。
そのために一番大事にしているのが、打ち合わせの際にしっかりお話するという点です。新卒で入社してまだ受注も少ししか経験しておらず、これからっていう感じなのですが…。セレモニアでは入社後の研修はもちろん、配属後も先輩のサポートを受けながら葬儀を学べます。今は先輩の打ち合わせに同席し、受注を学んでいるというところです。
今は、1人で受注の業務をすべて行えるように頑張っています。あとは敬語の勉強ですね。今までも敬語は使ってきていたんですけど、やっぱりちゃんと学びたいなと思って、本を買って読んでいます。
将来的には、リピートされるような接客ができるようになりたいです。お客様に「もう1回杉沢さんにやってもらいたい」と思われるように、しっかりと知識を身につけて、1人1人に寄り添った対応ができるようになりたいと思っています。
特技など:映画や動画作品などの鑑賞
大久保さんは東京観光専門学校で葬儀を扱う学科に所属していましたが、もともと中学生~高校生くらいの頃には「人の最期に関わる仕事をしたい」と考えていたそうです。
唯一無二のその人らしい葬儀をしたいと考えていた大久保さんに、現在所属する葬儀社の理念がもっとも近かったことが決め手となったそうです。
だいたい8時~8時20分くらいには出社して、引き継ぎを見たり、新しいお仕事が入っているかどうかの確認作業をします。
会館におけるその日のスケジュールと、それぞれの担当について細かく確認する時間です。
その日の式を行うご遺族がいらっしゃるので、そのお迎えの準備をします。式場を確認し、いつご遺族がいらっしゃってもいいように電気をつけたり、式の最終確認も行います。
ご遺族の案内が終わるとお寺様がいらっしゃったりするので、その対応と打ち合わせを行います。参列者様が見えたら受付に案内し、お線香をあげてもらったり、ご遺族様に挨拶をしてもらうなど、開式までゆったり過ごしてもらうよう心がけます。
葬儀が始まったあとは、ご焼香など、それぞれの宗派に合った案内を行います。葬儀が終わったらお花入れの儀があるのでその準備をし、それが終わったらご出棺の案内となります。
故人様とご遺族様・参列者様を、火葬場へと送り出します。
式が終わったら、まずは式場の片付けを行います。次にお通夜などの設営が入っている場合は、それに合わせた片付けを行います。
片付けが終わったら引き継ぎをし、その待ち時間で休憩を取るって感じです。休憩を取ったら、お通夜の準備や看板出しなど、基本的な準備をします。
17時開式のお通夜がある場合、これくらいの時間にご宗家さんがいらっしゃるので、その対応をします。故人様の身体を清めて棺に納める納棺式は、だいたい1時間くらいです。
お客様が来館したり、宗教者様が来るようであれば、そのお迎えと打ち合わせを行います。
時間にして1時間くらいです。式が終わったあとに会食の場があれば、そちらの案内をします。会食については基本的に配膳スタッフさんにお任せするので、その間に式場の片付や事務所に戻って別件の確認作業などをします。
片付けきれていないところがあれば明日に回して、会館の戸締りをして退勤します。お通夜があった場合は20時くらいになりますが、お通夜がなかった場合は17時30分の定時にあがります。
入社した当時は本当にてんやわんやで、業務をこなすっていうのが第一目標という感じでした。でも今はしっかり流れも掴めるようになってきたので、お客様の声とかを大切にしつつ、臨機応変に対応できるようになってきたかなと思います。「今こういった対応のほうが合っているな」と思ったら、それを実行したりですね。
マニュアル一辺倒と言いますか、流れをとにかく追っていた1年目の頃に比べると、ひとつひとつのことに対して柔軟な対応ができるようになってきた、と自負しています。
入社した当時は本当にてんやわんやで、業務をこなすっていうのが第一目標という感じでした。でも今はしっかり流れも掴めるようになってきたので、お客様の声とかを大切にしつつ、臨機応変に対応できるようになってきたかなと思います。「今こういった対応のほうが合っているな」と思ったら、それを実行したりですね。
マニュアル一辺倒と言いますか、流れをとにかく追っていた1年目の頃に比べると、ひとつひとつのことに対して柔軟な対応ができるようになってきた、と自負しています。
ご葬儀はお客様によって要望がまったく異なるのが特徴です。もちろん、すべてのケースに対して臨機応変に対応しているつもりなんですが、どうしても難しい部分はありますね。それでも、その人にしかないご葬儀なので、なんとか良いお式にしたい。そのためには持てる知識をどんどん増やし、経験を積み、失敗と成功を重ねていく必要があります。どんなお客様にもご満足いただけるように、学び続けていきたいです。
測量(資格持ち)、食べること
入社してから8年目を迎える片山さんは、駒沢大学文学部地理学科出身。測量士の資格を持ち、もともとは観光業界を目指していたとのこと。しかし、就活をしているときに大学の同級生が交通事故で亡くなり、その葬儀を担当したのが現在所属する葬儀社だったそうです。
そのときの葬儀スタッフの佇まいが非常に素敵で、「こういう業界もあるんだ」と興味を持ち、葬儀業界を志したという経緯をお持ちです。現在は葬儀場の副館長として勤務をする片山さんの業務内容に迫ります。
始業と朝礼は8時30分からとなっていますが、私は7時30分頃に来て各スタッフの1日のスケジュールを組んだり、夜勤業務の引き継ぎをしたりしています。
会館にはトップである館長がいますが、現在は副館長がメインで朝礼での連絡事項を伝えています。館長は、最後にひと言述べるみたいな感じです。朝礼の時間は5~6分くらいだと思います。
お客様へのご連絡を行いますが、お打ち合わせのお客様もいれば、その日に葬儀を行うお客様もいるなど、さまざまです。
葬儀の開始時間はまちまちですが、このぐらいの時間から参列者様がお見えになるため、案内を行います。
休憩時間については、その日の業務に合わせます。場合によってはもっと早い時間になることもありますし、逆に夕方ごろになるケースもありますね。
副館長の仕事として、打ち合わせの内容確認や、ファックスなどの確認作業を行います。
夕方ごろになると作業もひと段落し、ホッとできる時間です。電話対応や問い合わせ対応をしております。
業務が終われば退勤となります。わりと、定時退勤のケースが多いです。
私は平安会館さいわいという施設に勤めているんですが、人員配置に関してはこだわりがあります。できるだけ生産性を上げるために、1人あたりの仕事の分量を多く割り振っているんですね。
もちろん、1人1人のスタッフのキャパシティーを把握することにも力を入れていますし、スタッフにはある程度頑張ってもらっているので、お願いするときも上から目線にならないよう気を付けています。年下のスタッフも多いんですが、命令調にならないよう心がけていますね。
私は平安会館さいわいという施設に勤めているんですが、人員配置に関してはこだわりがあります。できるだけ生産性を上げるために、1人あたりの仕事の分量を多く割り振っているんですね。
もちろん、1人1人のスタッフのキャパシティーを把握することにも力を入れていますし、スタッフにはある程度ムリをさせているので、お願いするときも上から目線にならないよう気を付けています。年下のスタッフも多いんですが、命令調にならないよう心がけていますね。
お客様にとっても、葬祭スタッフにとっても、肩肘を張らずにお話しができる葬儀場づくりを心掛けています。打ち合わせに関しては、自分の家族に接するような気持ちでいつも業務に励んでいます。葬儀社と依頼主という壁を作らず、お客様が言いたいことを言えるようにするなど、真心をもって接するよう心がけております。
葬儀の仕事の業務内容や必要な知識・スキルは多岐に渡りますが、だからなるのはむずかしい、ではなく、仕事をしながら長期的な目標を立てて成長していくという覚悟さえあれば、だれにでもチャレンジできる職業です。まずは「やってみる」という気持ち、故人様やご遺族の方の想いに寄り添うことで感謝されることへのやりがいを感じられる人ならば、その面白さを実感できるはずです。
「葬祭ディレクター」はご本人やご遺族の希望に応える葬儀を提案し、葬儀の段取り、会場の設営、式の進行をする職業のこと。
葬祭業界に従事する人のなかで一定以上の知識と技能を備えた専門家でありプロです。
厚生労働大臣が認定する「葬祭ディレクター技能審査」に合格して初めて名乗ることができます。葬儀の仕事をするための専用資格は必要ありませんが、葬儀業界の中で安定したキャリアプランを積むためにも、ぜひ取得しておきたいのが「葬祭ディレクター」の資格だといえます。
葬祭ディレクターにはその技能・知識レベルによって2級と1級の二段階に分けられています。
2級は個人葬を執り行える知識と技能があることを証明するもの、1級は個人葬から社葬まで、すべての葬儀を執り行える知識と技能があることを証明するものです。
葬儀のプロとして業界で長く活躍していくには、1級葬祭ディレクターの取得を目指す必要があります。
1級 | 2級 | |
---|---|---|
資格条件 | 葬祭実務経験5年以上、または葬祭ディレクター2級合格後2年以上の葬祭実務経験が有る者 | 葬祭実務経験2年以上 |
技術試験 内容 |
全ての葬儀における葬祭サービスの詳細な知識と技能 (相談、会場設営、式典運営など)について技能審査試験の対象範囲となる | 個人葬における葬祭サービスの一般的な知識と技能(相 談、会場設営、式典運営など)について技能審査試験の対象範囲となる |
対応可能な 葬儀 |
個人葬・社葬などのすべての葬儀プランニングが対応可能 | 個人の葬儀プランニングが対応可能 |
葬祭ディレクター技能審査の科目・出題範囲は以下の5つの項目となります。
葬祭ディレクター技能審査の合格基準は、学科試験が「70%以上の得点」、実技試験が「幕張、接遇、司会、実技筆記の点数を合計して70%以上の得点」です。
葬儀及び関連する事項についての知識です。葬儀に係る仕事の内容について、意味も含めて正確に理解できているかを判定、かつ、社会的環境・公衆衛生・法律・行政手続・遺族心理・宗教等の関連知識の有無も判定されます。
葬儀式場設営のための基礎能力です。自宅や寺院等での式場設営の基礎技術であり、伝統的な式場装飾法である幕張装飾技法の習熟度を判定、かつ、設営課題実現のための目的意識と処理能力を判定されます。
葬儀運営のための基礎能力です。
葬儀ならびに告別式の内容を理解し、参列者に配慮して適切な案内・進行ができるかを判定、かつ、必要な日本語読解力、文章表現力が備わっているか、マナーが優れているかを判定されます。
葬祭ディレクターとしての実践面における理解が問われます。特にご遺族に対し、適切な言葉づかい、心配り、サービスマインドができているか、加えて一般常識をわきまえているか、顧客からの質問・要請・クレームに対して適切に対応できるか、ご遺族からの信頼を得て、葬祭サービスを提供できるかを判定されます。
葬儀の担当者としてのご遺族等への基本的な応接能力です。家族と死別した直後にあるご遺族や関係者に対して、適切な応接をすることができるか、挨拶、お悔やみ、意向を聴くこと、基本事項の確認を行うことを通して、礼等の基本的マナー、言葉遣い、進行の適切さ、姿勢、発声等を判定します。
いくら葬儀社に勤めているとはいえ、
これらすべてを完全にマスターするのは容易ではりません。
葬儀を部分的に対応するのではなく、
トータルで関わることができる環境であることが大切です。
一口に「葬儀の仕事」といっても、その事業体は大きく3つに分けられます。
まず、一般的に「葬儀社」としてイメージする「専門葬儀社・冠婚葬祭互助会」です。ご本人やご遺族のご希望に沿った葬儀をプランニングし、その準備や当日の進行などを担当します。
次に生花業者や飲食業者など、それぞれを専門的に扱う「専門業者」。
そして、ご遺族と専門葬儀社の仲介を主な業務とする「葬儀仲介業者」です。葬祭ディレクターになるための知識・技術を得たいのならば、やはり「専門葬儀社・冠婚葬祭互助会」への就職を目指す必要があります。
葬儀のプロとして長年必要とされる人材になるためには、やはり「専門葬儀社・冠婚葬祭互助会」に就職し、総合的な知識・技術を学ぶことが大切です。さらに新卒採用を積極的に行っており、研修や資格取得のサポートに力を入れている葬儀社を選ぶことこそ、葬儀の専門家として業界で長く活躍できる人材への成長へ、なくてはならないポイントだといえます。
いわゆる金銭面でのサポートだけでなく、業務時間内に勉強の会の時間を設ける、資格を所持した社員に質問ができるなど、様々な角度からのサポートをチェックしましょう。
実際に新卒から葬儀社へ入社し、現在活躍をしている方々へインタビュー。
なぜ葬儀の仕事という道を選んだのか、なにを「やりがい」に感じているのか。
現在の取り組みや将来の展望などを語ってもらっています。業界へ踏み込む前に、ぜひ参考にしてみてください。
セレモニアは昭和24年から続く、川崎市に多数の式場「平安会館」を持つ地域密着型の葬儀社です。長年の経験を生かし、葬儀をトータルで担当できる人材の育成や葬祭ディレクターなどの資格取得のサポートに力を入れています。
寝ること
今年で26歳を迎える上杉さんは、和光大学 現代人間学部出身。平安会館みやうちに勤務しており、日々お客様の幸せのために働いています。
大学では専攻がジェンダー関係で、今で言うLGBTなどを学んでいた上杉さん。教員課程も途中まで履修しており、学校生活におけるLGBTの問題なども学んでいた彼女がなぜ葬祭業へと就職したのか、お伺いしました。
葬儀の仕事って、どれだけお客様に満足して帰っていただいても、「また来てくださいね」「またお会いしましょうね」っていうのはこちらからは言えないんです。どんなに信頼関係が築けても、こちらから次に会える機会を作れることはあまりありません。
そんな中で、お客様から葬儀の後のご相談とかで頼っていただいたり、どなたかが亡くなられたときに「以前、上杉さんに担当してもらったから今回もお願いできるかな」みたいなお話をいただけると、すごく満足してもらえたんだなと思えます。そこが一番のやりがいになりますし、すごく嬉しいですね。
テーブルゲーム
セレモニアの平安会館わたりだにお勤めの佐藤さんは、立正大学文学部哲学科で学んだ27歳。考えること、本を読むことがお好きで文学部を選ばれました。
葬儀の仕事に興味を持ったきっかけは、ご自身の曾祖母が亡くなられたときのことだったそうです。現在どのような想いでお仕事をされているのか、お話を伺いました。
葬儀の仕事は安定した業界で働ける、というのがひとつのやりがいです。ただ、葬儀は将来的にもなくなることのない業界だと思っていますが、その形が変わることは当然あると思っています。
新型コロナというひとつの契機があり、私が入社したくらいの時期から、葬儀の形はだいぶ変わってきています。参列者が少なくなったりもしていますが、葬儀自体がなくなっているワケではなく、身内だけでもしっかり行いたいというニーズもあるので、働き続ける業界がなくならないというのはとても魅力的だと思っています。
あとは、お客様から感謝の言葉をいただける業種であることですね。葬儀はやり直しがききませんし、大切な人が亡くなった段階のお客様にお金の話もしなければなりません。そのため、一番むずかしい業種と言われることもあるんですが、それを乗り越えたあとにお客様からいただける「ありがとう」には、他の業種ではなかなか味わえない良さがあると感じています。
推し活
平安会館わたりだにお勤めの杉山さんは、東洋英和女学院大学 国際社会学部出身の25歳。趣味は推し活で、男性アイドルの他に高嶋ちさ子さんの12人のヴァイオリニストという活動のコンサートにも足を運んでいるなど、幅広いジャンルに興味をお持ちです。
学生時代は居酒屋や塾の講師、スーパーなど、たくさんの接客業のアルバイトをしてきたという杉山さんが、葬祭業へどのようなやりがいを見出しているのか伺いました。
多分誰もが言うと思うんですけども、「ありがとう」って言われることにやりがいを感じます。大きい葬儀をこなしたからすごいというワケじゃなくて、大きな葬儀ができてもクレームがあったら意味がないですし、満足できていない人がいても意味がないと思っています。ひとつひとつの葬儀の質を高めることが大切ですね。
お客様から花束をもらってしまうくらい感謝されることがあったり、終わったあとに直筆でお手紙をいただいたりすることもあって、そういうのがあると「大変だったけど頑張って良かったな」と思います。
音楽鑑賞、ギター弾く
セレモニアの平安会館さいわいにお勤めの小町さんは、神奈川大学 人間科学部出身の26歳。中学・高校と陸上を経験しており、その結果が認められて大学から声がかかり、神奈川大学の駅伝部に所属。部活に対しては真剣に取り組んでいましたが、大学2年生の頃に選手からマネージャーへと転身。チームメイトが活躍できるよう、支える存在として力を発揮していたそうです。そんな小町さんがいま葬祭業にどんなやりがいを見出ししているのか、お話を伺いました。
1年目のうちは、「お客様との打ち合わせからすべてを1人で担当するまでには時間がかかる」と言われていたんです。そう言われて、「早く1人前になってやろう」という反抗心に火が付きまして(笑)、例年よりもかなり早い段階で独り立ちができたんです。
仕事に慣れてくると、1年目の自分に求められているものは何なのかというのを考える余裕も出てきて、それが行動力とか体力的な部分かなと思ったんです。それで、あちこちに出向いてその部署を助けたりして、それが自分に求められていることだなと実感しまして、やりがいと自信につながった気がします。
大学時代のマネージャー経験もそうなんですが、ある組織に所属している以上、誰しも求められている役割というのはあると思うんです。たとえば、選手が円滑に練習に取り組めるよう環境を整えたりするのが、マネージャーの仕事みたいな感じです。
それは会社に入っても同じでした。1年目の自分に求められていることは何かというときに、組織に属している以上は組織のやり方や目標を達成しなければならないという考えがあったので、それを「自分で考えて行動できた」「達成できた」ということがモチベーションややりがいに繋がっていったのではないかと思います。
葬儀のお仕事というと、どうしても重々しく、暗い印象を持つ方も少なくないかもしれません。ですが実際は「暗さ」ではなく、その次にある「明るさ」へ目を向けて、業務に取り組んでいる方ばかりでした。
自分も、ご遺族様も、仲間たちも、幸せな明日に向かっていけるように、人の心に寄り添っていくことこそ、他の職業にはない、葬祭スタッフならではの仕事のやりがいだといえます。
上記の図は株式会社矢野経済研究所から2023年に発表された、葬祭ビジネス市場に関する調査および市場規模、セグメント別の動向、将来展望です。コロナ禍の影響により2020年は市場規模が前年比で約2割消失したものの、2021年および2022年は回復傾向にあります。
2023年の葬祭ビジネス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比105.0%の1兆7,273億円。以前と比べ大規模な葬儀は縮小傾向にあり、少人数・低単価の「家族葬」、「直葬・火葬式」、「樹木葬」などへの移行が進んでいる状態ですが、「故人の想いを叶える葬儀」は広がりを見せていること、また高齢化社会の到来などから、10年後の2032年は2023年比で102.4%となる1兆7,684億円になると予測されています。
大きな成長産業であるとはいえませんが、いつまでも人に求められ続ける安定性の高さから、将来に渡りなくなることない仕事であることが、葬儀業界で働く魅力のひとつです。
インターネットやSNS上で「葬儀の仕事」を検索すると、「やめておけ」「きつい」といったネガティブな言葉が並ぶことがありますが、その実情はどうでしょうか?
セレモニアの代表である鈴木康伸氏に葬祭業の実態についてお聞きしました。
オンコールとは、緊急の依頼や呼出などに対応できるよう、勤務時間外に従業員などが待機するシフトのこと。
葬儀の依頼は予測が不可能であるため、深夜や早朝でもすぐに対応できるよう、多くの葬儀社では24時間365日体制で業務にあたっています。
多くの葬儀社は完全出来高制で利益を出しているため、従業員にノルマを課しているケースが見受けられます。
なかには厳しいノルマを課している企業もあり、テレアポや飛び込み営業などを強いられることも。
葬儀社の営業は内容が内容なだけに簡単に契約が取れるものでもなく、これを苦手とする人も多いようです。
葬儀屋の仕事は、ご遺体の搬送・祭壇の設営など、意外と肉体労働が多め。
重いものを運ぶ機会も多く、肉体的な疲労が蓄積しやすくなっています。
お通夜や告別式では司会を務めることもあり、長時間の立ち仕事を求められることもしばしばです。さらに、急な依頼に対応するための夜勤もあり、場合によっては早朝・深夜でも搬送に向かうことがあるため、人によっては体力を消耗しやすくなります。
ご遺族をサポートし、故人様らしい葬儀を実現するのが葬儀業の仕事。
社会的意義が高く、やりがいのある仕事ではありますが、ご遺族との距離が近い分、精神的な負担も大きくなっています。
とくに感受性が豊かで、人の気持ちに共感しやすいタイプの人は、メンタル的に参ってしまうケースも少なくありません。
故人とご家族、ご友人との最後のときを扱う葬儀屋という仕事は、肉体的に精神的にも負担がかかりやすいため、「やめておけ」と言われることもあるでしょう。しかし、人生の最後という重要な場面をサポートし、ご遺族の気持ちに寄り添うこの仕事は、社会的意義もやりがいも十分にある特別な仕事です。
もちろんさまざまな懸念点はあるでしょうが、ほとんどの心配ごとについては、労働環境が整っている葬儀社を選ぶことで解消できるはず。葬儀社の説明会や職場体験に参加することで、自分の不安な部分をフォローしてもらえる企業かどうかを、しっかりチェックしておきましょう。
創業より、川崎を中心に地域密着の冠婚葬祭活動を行っているセレモニア。もともとは、1932年に葬祭業と建具業で事業展開を行っていた佐野商店がベースであり、1967年に互助会事業をスタート。
現在では、株式会社セレモニアと有限会社佐野商店という2つの企業を含むセレモニアグループとして、冠婚葬祭事業・福祉事業・互助会事業を中心とした事業を展開しています。
時代の変化とともに多様化するニーズに応えるため、セレモニアでは冠婚事業・介護事業・葬祭事業それぞれで、時代に合わせたサービスを創造及び提供。
葬儀を含む、人生におけるさまざまな儀礼文化は、従来以外のアイデアも求められるようになってきたと考えているセレモニア。伝統によって培われてきた儀礼文化を継承しつつ、時代の波を読み取りながら新しいカタチへと進化する、そんな「人生のトータルサポート企業」を目指しています。
お客様とは葬儀だけではなく、納骨・一周忌法要・仏壇やお墓の相談など、長いお付き合いが続くため、「この人になら任せられる」という信頼関係を築くことが何よりも大事。セレモニアでは、その信頼を築くためのベースともなる「葬祭ディレクター」の資格取得サポートも充実しています。
セレモニアでは、葬祭ディレクターの資格取得を目指す人のために、専門学校における授業料の支援貸付制度を用意。その他にも、料理関係ではフライマスター、生花においてはフラワーコーディネーターの資格を取得することもできます。